忍者ブログ
-And the mome raths outgrabe.
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。


大蜥蜴は竜の夢をみるか。





『何ゆえ竜と名すのかね?』
何時だったか、血縁の男にそう聞かれた。

一見して、そこには蜥蜴にしては割に大きいだけの頭蓋。
しかし、よく見れば眼窩の少し上
眉間の左右に離れて、細く伸びた2本の骨。

大地を這いずり、草を食んでいたころこそ
肉を貫き皮を破るほどでは無かったその骨も
肉を削ぎ皮を剥いだ今の姿では
成る程、角と呼べなくもなかった。

『つまりは、贋作物かい?』

その通り。
その角ゆえに、竜を求める人々を謀ろうと
一時商人の間で多くが捕らわれた。
そうして乱獲の後に、結局はその大蜥蜴自体が稀少となる始末。
そのため今でも求める人は少なくない。
思えばそれは、何と愚かな結末だろう。

『とかげはとかげ。竜をおしつけてころしたんじゃ、おこって隠れてしまうのも、あたりまえ。
 どうしてとかげじゃいけないの?』
そんな義妹の憤慨に、何となく頷いたのは何時の話だったろうか。


ぱきっ。


ふと、思い返して遠のいた意識が引き戻される。
振り返れば、揺らめく灯りを飲み込んだ蜥蜴が鎮座していた。
然しその火は僅かに弱い。
視線をめぐらし、自らの手が掛けている戸棚に
ランタン用の油が入っていることを思い出し
書き物の途中に弱まった火を見て、継ぎ足そうとしていた事も
漸く意識から引き摺り出された。

炙られた骨の爆ぜる音が、まるで催促のようだ。
溜めた息で鼻を鳴らし、戸棚を引いて油入りの瓶を取り出した。
そうしてゆっくりと頭蓋を持ち上げ、顎の下から指を差し入れつまみを緩め
元は頚椎の在った空洞から油を注ぎ足す。
つまみを戻し、ゆっくりと調節してやれば
空のはずの眼窩がまどろみ、満たされた喉をならす様にぱきりと音を立て
頭蓋は満足げに灯りを吐き出した。
その様子に、静かに目を細め。


ああ、確かにその通り。
骨になって尚、眼窩に見る夢に。
竜など影も無いだろう。


落ち着きを取り戻した灯りを横目に
再度、筆を動かし始めた。


PR
COMMENT FORM
NAME
URL
MAIL
PASS
TITLE
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
COMMENT
カレンダー
05 2026/06 07
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
フリーエリア
最新コメント
最新記事
(09/16)
(08/03)
(07/26)
(04/11)
(03/17)
最新トラックバック
プロフィール
HN:
solaris
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
最古記事
(02/18)
(03/06)
(03/09)
(03/12)
(03/17)
P R
忍者ブログ [PR]
"solaris" WROTE ALL ARTICLES.
PRODUCED BY SHINOBI.JP @ SAMURAI FACTORY INC.